2024年1月21日 説教要旨
ここには、二つの奇跡物語が書かれています。一つは、会堂長の一人ヤイロという人の懇願によって、イエスがその娘を死者の中から生きる者へと変えた話。もう一つは、12年間も出血が止まらなかった女性の、その病気を癒すという話です。話はヤイロの方から始まります。ヤイロはイエスを見ると足もとにひれ伏して、ひん死状態にある娘を救ってくれとしきりに願います。イエスはヤイロと一緒に出かけますが、12年間も出血の止まらない女の話が割り込んできます。イエスは、元々は会堂長ヤイロに願われてその娘の所に行くという行為をいったん中断し、出血の婦人の方を先に癒しました。会堂長といえば、当時、ユダヤの社会ではそれなりに地位のある人でした。一方で、出血の女性は、その病気ゆえに忌み嫌われ、差別される側に立たされていた人です。イエスが、会堂長はさておき、こちらの女性を優先したことに意味があります。まさに神の力とは、このように、小さくされた者の側にまずは働くということが示されます。その後、イエスは、ヤイロの家にも向かい、娘を死のうちから生命の世界へと蘇生させます。これは、神の力は、死をも支配するということを示します。出血を癒された女性は、自分から名乗り出ることはしませんでしたが、主イエスが群衆の中から見いだしてくださいました。主イエスと女性の人格的な出会いと交わりが成立しました。「あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。元気に暮らしなさい」神のシャロームが宣言されたのです。イエスとの人格的なやり取りによって、女性は、真に新しい人生へと生まれ変わったのです。
ヤイロの信仰によって、死んだと思われた娘も神のシャロームの中を歩むことができたのです。主イエスとの出会いと真の交わりは人を新しくします。
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